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総務省の「携帯電話の番号ポータビリティの在り方に関する研究会」による2004年4月1日に公開された報告書案では、導入にかかる費用よりも便益の方が大きいという試算結果が発表されました。

●携帯電話の番号ポータビリティ導入の費用試算
(「携帯電話の番号ポータビリティに関する報告書」をもとに作成)
・10%の場合
開発費 約448億~641億円
設備費 約467億~763億円
合計 約915億~1404億円
ランニング・コスト 約7億~13億円
導入1年目までの総額 約928億~1411億円

・50%の場合
開発費 約448億~641億円
設備費 約1040億~1182億円
合計 約1487億~1825億円
ランニング・コスト 約18億~47億円
導入1年目までの総額 約1528億~1843億円


在り方報告書案では、費用に対する便益の試算にページ数を割きました。
まず、番号ポータビリティによる便益は、3種類に分けられるとします。

・番号ポータビリティのユーザーが得られる効果(直接便益)
・番号ポータビリティを利用しない携帯電話ユーザーが得られる効果(間接便益1)
・すべての携帯電話ユーザーが得られる効果(間接便益2)

直接便益は、番号変更通知費用の削減効果を算出しました。
番号ポータビリティ導入によって、電話料金が安くなるといったメリットは、すべての携帯電話ユーザーに関係するので間接便益2に含んでいます。
そこで番号変更通知がいらなくなるというメリットを試算しました。これには名刺や封筒の刷り直しが含まれます。

この費用は、番号ポータビリティ・ユーザーに占める法人の割合によって大きく異なります。
大前提として、携帯電話ユーザーのうち、10%が番号ポータビリティを使うとします。
そのうち法人ユーザーが占める割合が0%なら約37億円削減、50%なら約855億円の削減が見込まれるとしています。

間接便益1では、番号ポータビリティ導入により機種変更費用が安くなる可能性があるので、その便益を試算しました。
この便益は携帯電話の買い換えサイクルが短いほど大きくなります。
試算では、2年に1回買い換えると約1995億円、1.4年に1回買い換えると約2850億円のメリットが生まれるとしています。

最後の間接便益2は、通信料金が10%下がったとして約2696億円の「消費者余剰」が発生するとしています。
この金額だけ携帯電話事業者が損するということではなく、事業者は通信料金が下がった分よりも、ユーザーが若干増えるので、ほぼ変わらないとしています。

こうして3つの便益を試算しましたが、通信料金が下がっても、機種変更費用は変わらない可能性があり、最終的な便益としては、間接便益1をのぞいた直接便益+間接便益2としました。
その結果、約2733億~3551億円の便益があるとしました。
約2696億円という通信料金値下げの間接便益2さえあれば、費用は上回るので、間接便益1が実現しなくても、結論には影響しないということでしょう。

こうして、費用と便益が試算できたところで、在り方報告書案は番号ポータビリティ導入による便益(約2733億~3551億円)は導入費用(約928億~1411億円)を上回ると結論付けています。

このように携帯電話のユーザーにとっては番号ポータビリティ導入はメリットが大きいことが示されましたが、サービスを提供する側の事業者にとってはどうでしょうか。
事業者はもともと番号ポータビリティ導入に及び腰でした。
しかし、在り方報告書案では、通話料料金が10%下がっても通話料の伸びの方が大きく、総通話料収入は1.053とわずかながら増えるとしています。
少なくとも大きく損することはないのですから、導入に踏み切るべしという総務省の意向でしょう。